タープの近くで焚き火をする場合、適切なレイアウトを理解していないと、タープに穴が空いたり燃えたりするリスクが高くなります。
また、焚き火と相性の良いタープの種類もあります。
そこで本記事では、以下の内容をお伝えします。
適切なタープの配置や注意点について、図解を入れて解説するのでぜひご覧ください。
なお、タープの種類や張り方、保管方法など、タープに関する情報は以下の記事にまとめています。ぜひ参考にご覧ください。
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タープは焚き火の熱に弱い
タープは日差し・雨・風をしのぐために活用するキャンプギアです。そのためキャンプに欠かせないアイテムとして重宝されています。
しかし、タープの生地には防水性の高いポリエステルが使われていることが多いため、火や熱に弱いという弱点があります。
ポリエステル素材は、防水性があり軽くて使いやすいです。その反面、焚き火の熱や火の粉に対して非常に弱い性質があります。
タープと焚き火の距離は最低でも「横1m・高さ2m」必要
タープと焚き火の距離は、最低でも「横1m・高さ2m」はとってください。
ポリエステル素材のタープを焚き火の近くで使用すると、ちょっとした熱で溶けてしまう可能性があります。
たとえ焚き火の炎に触れなくても、炎の熱で溶けてタープに大きな穴が簡単に空いてしまいます。
タープにダメージを与えないためにも、焚き火との距離には十分注意しましょう。
コットン100%の焚き火用タープでも火の粉で穴が空く
タープのなかには、熱に強いコットン素材で作られたものもあります。
ただし、コットン素材は燃えにくいだけで、燃える素材であることに変わりはありません。
火の粉が付くと穴が空いてしまうため、コットン素材のタープだからといって焚き火の近くに配置しないよう注意が必要です。
タープ下に焚き火を配置するのをおすすめしない3つの理由
焚き火の炎は真上に上がるため、タープの真下に焚き火台を配置すると危険なことも多いです。最悪の場合だと、火災につながる可能性もあります。
ここでは、タープの真下に焚き火を配置するのをおすすめしない理由を3つ解説します。
理由1 焚き火の火の粉で穴が空く・熱で溶ける
焚き火をしていると、薪の中の水分が熱せられて水蒸気爆発が起こり、火の粉がパチッと飛ぶことがあります。
タープに火の粉が付くと、熱で小さな穴が無数に空く可能性があります。
先述したように、火に強いコットン素材のタープでも、火の粉で穴が空いたり燃えたりする可能性があります。
火の粉が飛ぶ方向を予測するのは難しいですが、風除けとなる「リフレクター」や「陣幕」を使えば、横から飛んでくる火の粉はある程度カバーできます。
しかし、焚き火の真上はカバーできません。そのため、焚き火の真上にタープを配置するのは危険なのです。
また、焚き火の熱が最も高温になるのは焚き火台の真上です。
先述したように、素材によっては熱でタープが溶けてしまう危険もあるため、ポールの高さは2m以上にしておきましょう。
なお、焚き火の周囲をカバーできる「陣幕」の必要性や効果については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらも合わせてご覧ください。
理由2 タープに焚き火の臭いがついてしまう
タープの真下で焚き火をすると煙との距離が近くなるため、焦げた薪のニオイがタープにつきやすくなります。
焚き火のニオイがタープにつくと、タープを持ち帰る際の車内や家のなかにまで、焚き火のニオイが充満する可能性があります。
一度ついてしまった焚き火のニオイは2〜3週間ほど消えないので、タープ真下に焚き火を配置しないよう注意してください。
下記の記事では、テントについた焚き火の臭い取りについての詳細を解説しています。
記事の中で紹介している臭い取りの方法は、タープでも応用可能です。「焚き火の臭いがタープについてしまって困っている」という方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。
なお、薪が水分を含んでしまうと湿気で不完全燃焼が起こり、煙の量が増えます。そのため、使用する薪は濡れにくい場所に保管しておきましょう。
理由3 一酸化炭素中毒の危険がある
タープ設営の仕方によっては「一酸化炭素中毒の危険」があります。
酸素が不足した環境下で、薪などの燃料を燃やすと、不完全燃焼を起こして一酸化炭素(CO)が発生します。
この一酸化炭素が体内に入ると、酸素不足の状態になり、頭痛・吐き気・耳鳴りなどの中毒症状を引き起こします。最悪の場合だと命に関わるため大変危険です。
スクエアタイプのタープを使ってタープ泊をする場合はとくに危険です。
たとえば、タープ泊に適している四方を閉じるパスファインダーなどの設営方法は、地面とタープを接地させて気密性が高くなるため、一酸化炭素中毒のリスクも高くなります。
換気しにくい可能性がある場合は、「一酸化炭素チェッカー」を必ず使いましょう。
「一酸化炭素チェッカー」とは、一酸化炭素の濃度を計測する機械のことです。危険信号になるとアラームが鳴るため、一酸化炭素中毒の危険から身を守れます。
【天気別】焚き火キャンプでのタープ配置場所
焚き火とタープの配置は、天候によって変えましょう。
ここでは次の2パターンのレイアウトを紹介します。
- 晴天の場合
- 強風の場合
なお、先述したように火災などのリスクがあるので、雨が降っているからといってタープ下で焚き火をするのはおすすめしません。
「ポリコットン」や「コットン」などが使われている難燃性のタープでも、燃えないわけでありません。タープの生地を傷める恐れもあるので、避けておきましょう。
晴天の場合:タープ外に焚き火を配置する
晴れの日は、風が通るようにポールやロープを使って広い空間を作りましょう。
たとえば、タープ左端にテントを配置して、タープ右端にキッチンスペースを設置すると、焚き火とテントが一番遠くなり、安全に焚き火を楽しめるレイアウトになります。
設営するときは、テントの半分くらいがタープ内に含まれるイメージで配置すると見た目もカッコよくなりますよ。
キッチンスペース側は、タープホール(またはグロメット)に直接メインポールを差し込むことによって転倒のリスクも軽減できます。
強風の場合:タープ外に焚き火を配置して、陣幕を併用する
風が強い日は、メインポールが倒れたり、ロープが緩んでタープが飛んでいったりする危険があります。
タープ設営時は、1.5〜1.8mほどの低いポールを使って、風の影響をなるべく受けないように設営してください。
焚き火の横風対策には、リフレクターや陣幕の併用をおすすめします。
陣幕の基本的な張り方については、以下の記事にて画像付きで解説しています。ぜひこちらも参考にしてください。
タープのロープの張りが弱いと、風の力でタープホールからタープが抜けて飛んでしまいます。タープホール(またはグロメット)にメインポールを直接差し込んで、しっかりペグダウンすることが重要です。
もし近くに木があるなら、ロープでタープを木に固定してください。
ポールと木の両方でタープを固定すれば強風にも耐えられます。
下記の記事では、風が強い日にタープを張るときのポイントやコツを、わかりやすく画像付きで解説しています。こちらも参考にご覧ください。
なお、風が強いと火の粉も遠くまで飛ぶので注意してください。風で炎が暴れて火災のリスクも高くなるので、キッチンスペースは十分な距離を確保しましょう。
タープから少し離れた場所に、陣幕を設置してキッチンスペースを作ると安全です。
焚き火と相性のよい3種類のタープ
ここでは、焚き火をする際におすすめなタープの種類を3つ紹介します。
- 種類1 レクタタープ
- 種類2 ヘキサタープ
- 種類3 ウィングタープ
これらのタープは、1枚の布を屋根にする「オープンタープ」と呼ばれます。ポールに高さがあるので、焚き火との相性が抜群です。
それぞれの特徴やメリット・デメリットは、以下の表にまとめています。
特徴 | メリット | デメリット | |
レクタタープ | 四角形 メインポール×2本・サブポール4本で設営 ファミリーやグループキャンプ向き | 面積が大きい 大人数で使用できる | 重さがある 持ち運びが大変 |
ヘキサタープ | 六角形 メインポール2本で設営 ソロやデュオキャンプ向き | 必要な部品が少ない 設営がかんたん 1人でも設営できる | 面積が狭い コットン素材は重い |
ウィングタープ | ひし形 メインポール2本で設営 海辺や湖畔など風が強いエリア向き | 持ち運びや設営がかんたん 強風に強い | 面積が狭い 雨天には不向き |
それでは、各タープについて詳しく解説します。
種類1 レクタタープ
「レクタタープ」とは、見た目が四角形のタープです。
基本的に、メインポール2本・サブポール4本を使って設営します。
レクタタープは面積が大きく大人数で使用できるため、ファミリーキャンプやグループキャンプで人気のタープです。その一方、非常に重く、持ち運びが大変といったデメリットがあります。
レクタタープの使用は、車で運べるオートサイトがおすすめです。
種類2 ヘキサタープ
「ヘキサタープ」は、見た目が六角形のタープです。
基本的にメインポール2本を使って設営するため、1人でも設営が可能です。
面積が狭いですが、レクタタープよりも設営がかんたんなため、ソロキャンプやデュオキャンプに最適です。
コットン素材のものだと人力で運ぶには疲れてしまう重さがあるので、車で運べるオートサイトに持っていきましょう。
ヘキサタープの使い方や選び方のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。「そもそもヘキサタープってどんなタープなの?」と気になる方は、ぜひあわせてご覧ください。
種類3 ウィングタープ
「ウィングタープ」は、見た目がひし形のタープです。
こちらもヘキサタープと同様に、メインポール2本を使って設営します。
タープ面積が狭いため雨天には向いていません。どちらかというと、日差しを避けるためのタープといったイメージです。
レクタタープ・ヘキサタープに比べて強風に強い特徴があるため、海辺や湖畔など風が強いエリアでキャンプをするときに使います。夏に大活躍するタープです。
タープを火の粉や煙から守る対策方法
焚き火をするときは、タープを火の粉や煙から守るための対策方法も考えましょう。
主な対策には、次の3つが挙げられます。
- 対策1 長めのポールで焚き火台との距離をとる
- 対策2 焚き火の上にトライポッドを置く
- 対策3 コンパクトな焚き火台を使う
それでは、それぞれの対策方法を詳しく紹介します。
対策1 長めのポールで焚き火台との距離をとる
対策の1つ目は、「長いポールを使ってタープと焚き火の距離を取る」です。
火の粉が付かないようにするには、ポールの高さは2〜2.5mくらい必要です。
ただし、ポールが長くなるほど転倒のリスクが高くなるので、しっかりペグダウンして固定するようにしてください。とくに雨が降ったあとの地面は、ペグが抜けやすいので注意が必要です。
また、雨量が多くなると、水の重さでタープが沈むことがあります。メインポールが曲がっていたりすると折れてしまう恐れがあるので、垂直に立っているか確認しましょう。
メインポールには「ジョイント式・スライド式・プッシュボタン式」があります。
この中だと、強度と汎用性がある「プッシュボタン式」のポールがおすすめです。
強度だけで考えるとジョイント式の方が強いですが、高さを調節できないというデメリットがあります。ポールを選ぶ際は、優先させたい機能を選ぶとよいでしょう。
対策2 焚き火の上にトライポッドを置く
焚き火の上にトライポッドを置いて物理的に遮断してしまうのも、火の粉や煙の飛散から守る方法としておすすめです。
トライポッドとは、焚き火調理に使うキャンプ用の三脚のことです。
トライポッドがあれば、焚き火の上にダッチオーブンやケトルを置いて、火の粉の飛散を軽減できます。ケトルを置く場合は、蒸気でタープに水滴が付いたり、結露したりすることがあるのでタオルで拭くようにしてください。
対策3 コンパクトな焚き火台を使う
ソロキャンプ用のコンパクトな焚き火台を使えば、焚き火の火力を抑えられます。
短いメインポールしかないなど、タープの高さに不安があるなら、焚き火の火力を落とすことで対処しましょう。コンパクトな焚き火台でもキャンプ料理は十分作れます。
薪を丸ごと燃やせる大きな焚き火台をタープ内で使用するときは「炎の高さ」に注意してください。
適切なレイアウトで焚き火を楽しもう!
タープの真下に焚き火を配置すると、穴が空いたり燃えたりする恐れがあるので、距離を取ることが大切です。
タープと焚き火のレイアウトのコツは「ポールの長さ」です。メインポールには長さを調整できるプッシュボタン式がおすすめです。突然の悪天候時にも備えられるよう、2〜3mほどの長さがある太いポールを準備しておくとよいでしょう。
今回紹介したレイアウトや対策方法を参考にして、安全に楽しく焚き火キャンプを楽しんでください。
なお、焚き火を安全に行うためには、燃やしてはいけない木材などをしっかり認識しておくことも必要です。
以下の記事では、キャンプ場に生えている燃やしてはいけない樹木などを、画像つきで紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。