タープ泊と言えば多彩な張り方がアレンジできる、長方形のレクタタープが多く用いられています。
しかし、最近は張り姿の美しさゆえ、レクタタープよりヘキサタープの方が人気も高く「ヘキサタープしか持っていない」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「ヘキサタープでもタープ泊はできるのか?」を検証するため、実際にヘキサタープをいろいろな張り方でアレンジしてみました。
どのような張り方ができるのか画像付きで紹介するので、ぜひ参考にしてください。
なお、タープの種類や張り方、保管方法など、タープに関する情報は以下の記事にまとめています。ぜひ参考にご覧ください。
アウトドアブランドのWAQでは、水や火の粉に強いTC素材を使用したヘキサタープを販売しています。
ポールやペグがセットになっている、オールインワンセットです。部品の買い足しは不要なので、初心者の方にもおすすめです。
この機会に、ぜひ公式ストアをチェックしてみてください。
タープ泊の魅力
タープ泊とは、その名の通り「テントを使わず、タープのみで宿泊する」キャンプスタイルです。では、タープ泊の魅力とは、どのようなことがあげられるのでしょうか。具体的にみていきましょう。
自然とひとつになれる
タープ泊の魅力といえば、まず「自然とひとつになれる」ということがあげられます。
もともとキャンプとは、テントという「布1枚」を隔てただけで自然の中に滞在し、宿泊する(デイキャンプを除く)アウトドアレジャーです。しかしタープ泊の場合は「布1枚の屋根」しか存在しません。
それ以外は壁も床も大自然そのままです。それゆえ、テント泊よりもさらに自然との一体感を味わうことができるのです。
夏場は涼しい
テント泊は、どんなに通気性のよいテントだとしても、布で囲われたテントでは夏場はある程度の熱がこもってしまいます。
一方タープ泊の場合は、張り方によっては限りなくオープンな「屋根」しかない構造ですので、風通しがよく涼しいのは間違いありません。
荷物を減らせる
テントがいらないタープ泊は、荷物が少なくて済むというのも大きな魅力です。
ポリエステルやナイロンなど合成繊維のタープであれば、ポケットサイズにたためるコンパクトな製品も多く、荷物のわずかなスキマにも収納できます。徒歩キャンプや、バイク・自転車などのツーリングキャンプの可能性を広げてくれます。
とくに山間の立木を利用したタープ泊であれば、ポールも必要ありません。
近年人気のできるだけ荷物を少なくした「ミニマリストキャンプ」スタイルや、「ブッシュクラフト」スタイルのキャンプを愛するソロキャンパーには、ピッタリなキャンプ泊のスタイルではないでしょうか。
機動力に優れている
テントの設営や撤収作業には、それなりの手間と時間がかかってしまいます。しかしタープ泊は、慣れればテントよりもはるかに短い時間で済みます。
ミニマリストキャンプとしてタープ泊を選択した場合、状況次第でキャンプベースを移動したり、風向きに合わせて向きを変えたりといった自由度が高く、機動力に優れています。
タープ泊のデメリット
より自然と近くでその恩恵を楽しめる分、厳しさも同時に考慮しておかなければならないのがタープ泊。
デメリットをしっかりと確認しておくことも、タープ泊を存分に楽しむためには欠かせません。
風と雨に弱い
布1枚で屋根しか無いタープ泊は、テント泊と比べると自然の猛威をより肌で感じるもの。
とくに風と雨の影響は計りしれず、場合によってはテント泊のときよりもシビアな「撤退する勇気」が求められることもあります。自分の身を守るためにも、いざというときは即座に撤退することも肝に銘じておきましょう。
寒さに弱い
オープン状態で、夏場でも涼しく過ごせるとはいったものの、大自然の中で何も遮ることなく屋根1つ(と寝袋)だけで身を寄せなければいけないのも、タープ泊というものです。
キャンプ地の多くが普段生活している自宅近辺よりも高地にあり、朝晩の冷え込みが想像以上ということも少なくありません。
タープ泊ではテント泊以上に、いざというときの防寒対策をしっかりと考えておきましょう。
他者の視線が気になる
「壁」という存在が一切ないタープ泊。くつろぐときも寝るときも、ほぼ丸見えの状態で過ごさなければなりません。そのため、プライベートな空間はほとんどなく、人によっては他者の視線が気になることもあるでしょう。
寝るときでさえオープンな状態でいなければいけないというのは、当然防犯面でのリスクも増えます。
虫に刺されやすい
夏場のキャンプでは、蚊やアブといった虫との攻防戦に悩まされる人も多いでしょう。開放的なタープ泊では、何もしなければ虫に刺されやすいといったデメリットがあります。
テント泊の場合は、虫よけ対策の1つとして、メッシュのインナーテントを使う方法もあります。同じようにタープ泊でも、コンパクトなポップアップ型メッシュテントを使うなど、何らかの虫対策があったほうがより快適に過ごせるはずです。
その他にも注意しておきたいことや、タープ泊に必要なアイテムなどについては、こちらの記事にまとめています。タープ泊を行う前に、ぜひこちらも参考にご覧ください。
タープ泊用ヘキサタープの張り方
それでは、タープ泊の魅力とメリット・デメリットを理解していただいたところで、タープ泊仕様にヘキサタープを張ってみましょう!
ここでは、
- タープ泊を想定したヘキサタープの一般的な張り方
- アレンジした張り方
を考えてみたいと思います。
今回は、TC素材で丈夫かつ美しい張り姿で人気の高い「WAQ製のヘキサタープTC(M)」を利用して検証実験を行いました。気になる方はぜひ公式サイトをチェックしてみてください。
まずはヘキサタープの特性を理解しよう
タープ泊には張り方のアレンジ幅が広いレクタタープの方が向いていますが、ヘキサタープでもタープ泊は十分楽しめます。
ヘキサタープの一般的な張り方は「両サイド2本のポールで本体を立ち上げ、残りの4ヶ所のグロメットをガイロープで引っ張って自立」させます。
このヘキサタープの張り方と六角形の形を活かして、タープ泊用にプライベート空間を確保するヘキサタープの張り方をご紹介します。
1人でもヘキサタープをかんたんかつキレイに設営する張り方は、下の記事で詳しく解説しています。基本の設営方法として、こちらもぜひ参考にしてください。
一般的な張り方
それでは、タープ泊向けヘキサタープの張り方を試してみましょう。
完成イメージは下記の写真です。
次の方法で設営していきます。
- ポールは片側1本のみを使用
- 反対側は地面に直接ペグダウンする
手順に沿って張り方を詳しく解説します。
まずはタープを地面に広げ、センターグロメットの1つを地面にペグダウンします。
このとき、ペグダウンする側は必ず「風上」としてください。風上側のグロメットをペグダウンすることで、風の影響を受けにくいキャンプサイトを作り上げることができます。
さらに、さきほどペグダウンしたセンターグロメットの両端にあるグロメットもペグダウンします。片側を完全に地面に固定するところまで終われば、少々の強風下でも落ち着いて作業できるでしょう。
続いて、反対側のグロメットに付属のポールを刺し、2本のガイロープでテンションをかけながら立ち上げます。
最後は、今立ち上げたメインポールの両サイドにあるグロメットをガイロープで適宜引っ張って調整します。
雨などが気になる気象条件では、ガイロープをできるだけ真下に引っ張るようにすれば、影響を最小限に留めることができるでしょう。
立ち上げたタープの姿がこちらです。
これならば、後方に加え、ある程度左右からの視線も遮ることができ、快適なプライベート空間が確保できると思いませんか?よほど雨が強いというような気象条件でなければ、この張り方で十分にタープ泊が楽しめるはずです。
ちなみにこの張り方で「6ヶ所のグロメットをどのように扱うか」を表したのが下の図です。
六角形の片側は完全にペグダウン。片側をポールとガイロープを使って開放的な入り口にした張り方となります。
ポールを別売りの短いものに変え、それ以外の5ヶ所をガイロープの部分を含めて地面にペグダウンすれば、より風雨に耐えうる張り方となります。
しかし、筆者の行った実証では、実際の立ち姿は地面に這いつくばった状態となってしまい、居住空間の確保はむずかしかったため、あまり現実的ではありませんでした。
雨風に対応した張り方
本来、雨の中のタープ泊では、レクタタープを使ってステルス張り・ピラミッド張り・フルクローズなどの張り方をするのが一般的です。それに対してヘキサタープの場合、構造上フルクローズにする張り方はほぼできません。
しかし、だからといってヘキサタープで雨のタープ泊ができないかといえば、決してそんなことはないのです。
ここでは、雨のタープ泊に適した「ステルス張り」のアレンジともいえる張り方を、下記の図のように考案し、実際に検証してみました。
こちらは、ヘキサタープを90度反転させた形で張る方法です。
- 通常メインポールを立てる2ヶ所のグロメットは、左右に直接ペグダウンする
- サブロープで形を整えるグロメットにポールを立てる
- 伸縮性ポールを使用する
というやり方で、今回は試してみました。
それでは具体的な張り方を、順を追って解説します。
まずは、図にある本来はサイドに当たる2ヶ所のグロメットを、風上側に向けて地面に直接ペグダウンします。
続いて、その反対側にあたる2ヶ所のサイドグロメットにそれぞれポールを立て、ガイロープでテンションをかけて立ち上げます。
このときの高さは、1.3m程度にしてみました。
次に、本来はメインポールを立てる両サイドのグロメットを、ポールに合わせて適宜地面にペグダウンします。
このペグ位置は、ポールの高さによって変わりますので、必ずポールを立てた後に行ってください。
どうでしょう?奥はかなり狭くなってしまいますが、ちょっとしたパップテントのように見えませんか?
とはいえ、正直片側以外は雨対策がされているとはお世辞にもいえません。そこで、さらにアレンジしてみます。
ステルス張りに近い張り方(ポール1本使用)
ヘキサタープには、メインで使用するグロメット以外にも、張ったときの安定感を確保するなどの目的で、いくつかサブグロメットが設けられている場合があります。
WAQのヘキサタープTC(M)にもサブのグロメットが用意されているので、その1つを利用してみます。
先ほど2本のポールを立てたちょうど間に設けられたグロメット。下の赤い丸で囲ったサブグロメットにポールを立てて、ワンポールで立ち上げてみます。
強風を伴う雨対策までできているとはいいがたいものの「ステルス張り」に近い張り方ができたように感じませんか。
居住スペースもこのとおり。
残念ながらコットを使用できるほどの高さはありませんが、ちゃんと寝ることはできます。
なお、ポールの高さは、使用した伸縮性ポールの最短にあたる約85cmです。この高さを調整し、足元スペースの高さをどうにかして確保すれば、もう少し快適に過ごすことができるかもしれませんね。
こちらの記事では、さらに雨に対応したアレンジ張りを検証しています!ぜひこちらもご覧ください。
開放的なタープ泊の張り方
続いて、WAQのヘキサタープTC(M)に付属のポール(2m)2本を使って、一般的な開放的スタイルの張り方をしてみました。完成形は下記のとおりです。
こちらの張り方であれば、中央部では大の大人が背を屈めず歩き回れるほどの広々としたキャンプリビングとなり、寝床のスペースも十分に確保できます。
ただし開放感がある一方、実際にここで寝ると考えた場合、少々オープンすぎるともいえます。中の様子が丸見え状態になるため、男性でも落ち着かなさを感じる方もいるかもしれません。
両サイドを下げた張り方
先ほどの開放的なタープの張り方から、両サイドを下げてアレンジした張り方です。
こちらの張り方は、次のように変更してみました。
- 両サイドのポールを、WAQヘキサタープTC(M)付属のものから、市販の伸縮性ポールに変更
- 四隅のグロメットをガイロープで引っ張らず、直接地面にペグダウン
ちなみにこのときのポール長は、最近人気を集めているワンポールティピーテントやパップテントの多くに見られるような、1.3mほどに合わせてみました。
どうでしょう?これならばずいぶんと落ち着いて寝られる、プライベート空間が確保できたような気がしませんか?
陣幕スタイルの張り方
続いては、ヘキサタープ張り方アレンジの1つである、陣幕スタイルで張ってみました。
写真ではWAQヘキサタープTC(M)に付属の2mポールと、別売り伸縮性ポール(約1.8mに調整)を使っています。
メインポールも伸縮性ポールに変えて全体的にタープの高さを下げ、片側のグロメットのみ直接地面にペグダウンすれば、片側からの視線はかなり遮断できそうです。
川沿いのキャンプ地などで、川に面した側のみオープンにするなどすれば、この張り方でも十分に人目を気にせずタープ泊が楽しめるかもしれません。
ちなみに、片側の跳ね上げ用別売ポールを使わず、視線を遮れるようガイロープで引っ張るのみの張り方も試してみました。
こちらは屋根の角度が鋭角になりすぎて、居住空間としてはあまり現実的ではなさそうです。
前項の、ポールを短くして四隅を直接ペグダウンする張り方の方が現実的かもしれません。
ヘキサタープのタープ泊であると便利なキャンプ用品
ヘキサタープでタープ泊をするには、いくつかのキャンプ用品を合わせることでさらに快適なキャンプ時間を過ごせます。
ここでは、タープ泊であると便利なキャンプ用品のうち、代表的なモノをいくつかご紹介します。
グランドシート&マット
テントよりも自然に近いのがタープ泊だといっても、こんな凸凹な地面で寝る場合には、寝袋1つでは心もとないもの。
多少の雨や湿った地面に対応できる防水性のグランドシートや、凹凸と地熱からくる体へのダメージを和らげる厚手のマットは、タープ泊では欠かせないアイテムです。
バスタブ型の特殊なグランドシートを用いれば、少々の雨で外から流れ込む水の流れにも悩まされません。
また、地べたに直接寝なければならないタープ泊では、マットの持つ役割はとくに重要です。
マットの種類としては、荷物を最小限に抑えたいミニマムキャンプならコンパクトに収納できるエアーマットなどでもよいでしょう。
ただし、荷物の運搬に余裕のある状態でより快適な眠りを求めたいなら、エアーマットの中空にウレタンが入ったインフレーターマット(インフレータブルマット)をおすすめします。
WAQのインフレータブルマットであれば、8cm、10cmの2サイズ展開で、キャンプにおける快適な眠りが手に入ります。
コット
雨のタープ泊では、特殊なバスタブ型グランドシートなどを使用しない場合、キャンプ用のコットがあると多少の水の流れなどを気にせず快適な眠りを約束してくれます。
晴天時でもフィールドの凹凸、地熱の影響を遮断してくれるので、タープ泊にあると便利なキャンプ用品といってもいいでしょう。
画像のWAQ製2WAYフォールディングコットのように、ハイスタイルとロースタイルが選べるタイプであれば、タープの張り方による天井高に合わせて高さを切り替えることができ便利です。
気になる方は、WAQ公式サイトをぜひチェックしてみてください。
荷物用スタンド
大切なキャンプ道具も、できる限り余計な汚し方はしたくないものです。
こんなときに荷物を置けるちょっとしたスタンドがあれば、ぬかるみなど少々悪条件のフィールドでも、荷物がぐちゃぐちゃにならず快適なキャンプができます。
メッシュテント
オープン状態で寝るのが気持ちいいタープ泊ですが、それでも夏場の虫よけには最大限の気を使いたいところ。
森林香などの虫よけを使うのも有効な手段ですが、究極的にはシェルター型のメッシュテントなどを使うのも、虫対策のためには効果的な選択肢です。
ポップアップ型のメッシュシェルターとコットを合わせれば、その都度場所を移動させることもできる、軽く機動力のある快適な寝床が完成します。
これであれば、タープの下で寝るのも、星空を眺めながら寝るのも気の向くままです。
陣幕
寝るときでもある程度は人目を気にしなければならないのが、タープ泊最大の弱点ともいえますが、近年人気の高い陣幕などを利用することで、より快適なプライベート空間を実現できます。
また、陣幕の内側で焚き火をすることにより、風よけと同時にタープ内への暖房効果も期待できますので、急に冷え込んだ場合などでも安心です。
WAQでは、ソロキャンプにピッタリの「焚き火陣幕TC」を販売しています。
周囲からの視線や風を遮断してくれるため守られている感が強く、ゆったりとキャンプが楽しめます。シンプル設計で設営が楽なので、ソロキャンプのお供におすすめ。
ほかにも下記のような特徴があります。
- TC素材を使用
- 頑丈でおしゃれなアイアンフレーム
- 好みの角度に調整可能
気になる方はぜひ公式サイトをチェックしてみてください。
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ヘキサタープでも張り方次第でタープ泊は可能!独自のアレンジも楽しんでみよう
タープ泊の魅力とともに、ヘキサタープでタープ泊を楽しむための張り方について解説しました。ヘキサタープでもアレンジ次第でタープ泊向けの張り方や、人気のあるステルス張りに近い張り方もできます。
「ヘキサタープしか持っていないけどタープ泊をやってみたい」という方は、ぜひ今回の張り方を参考に、自分独自のアレンジも試してみながら、自然に溶け込んだタープ泊を楽しんでみてください。
キャンプ初心者のタープ設営で悩みがちなのが「ガイロープの長さ」。地面との角度などをしっかり計算した上で準備しなければ、設営時に長さが足りずタープが張れないという困った事態を招く可能性もあります。
下の記事では、必要なガイロープを算出する計算方法を紹介しています。必要なガイロープの長さがよくわからないという方は、タープ泊の前にこちらも参考にしてください。